Zo通信
2021-12-26 00:00:00
光について考えてみましょう。光と闇。光のあるところには、必ず光のもとがあります。夜の闇では星や月の光が、昼には太陽の光があります。光があたるところには陰があり、明るさと暗さの調子によって「物のかたち」が立体視されます。この陰影の幅が大きいほど、形がデリケートに印象づけられます。夜間には太陽光に代わるものとして、人工光としての「照明」が工夫されてきました。太陽光もそれぞれの季節や天候の違い、時間によって常に変化していますが、人の視覚は、この明るさの変化の中で物を見ることに慣れています。建築においては、古くから太陽の光を使って様々な透過光や反射光として上手に「濾過させて使う」という工夫がなされてきました。造形においても物が置かれる適切な「光環境」がとても重要になります。物の見え方は、光の状況によって大きく変化してきます。配慮された光のもとで質感や色の深み、肌合いなどを充分に鑑賞することができます。人工照明も明るさの道具としてだけではなく、人の目にも物の鑑賞にも柔らかく優しい環境づくりのためのものであるということを改めて感じています。
(S.I)