Zo通信

2023-10-14 00:00:00

 広瀬川造形館の開設にあたり、「理想とする空間」のイメージとして下記の文章をHPに掲載してきました。この度HPの改訂にあたり、No.16に移行いたしました。

 

 

 イタリアのラヴェンナにあるサン・ヴィターレという小さな聖堂を訪れた。

1984年の夏の暑い日で、人影も無く、古びた建物は、どこが入り口かも判らないほどの簡素な造りであった。

中に入ると天井が高く抜けていて、外観からはとても想像もできない開放感に満ち溢れていた。

内陣に施されたモザイクは、創建6世紀のものと言われ、見るからに劣化が進んでいたが、高窓から入る柔らかな光で輝き、まるで小さな宝石箱の中に入るような錯覚を覚えた。

数年後、大規模な修復が行われ、世界文化遺産となったが、この時の素晴らしい印象は忘れられない。

「時」と「人」と「場」、そんな空間を育てていきたい。

 

 

池田政治

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