Zo通信

2019-12-10 00:00:00

 冷和元年も残り少なくなりました。良いことも悪いことも様々でしたが、衝撃的なことの一つに沖縄県の首里城の火災がありました。防火設備に限らず先端技術が発達し、随所に取り入れられている中での不幸で、目に見えない危険が潜む日常の危うさに言葉を失います。首里城を訪れたのは、25年ほど前で、「正殿」「北殿」など主要な建物の復元がほぼ終わった頃でした。内部のしつらえや装飾などは未だ復元工事中でしたが、建物の外観や内部空間には、大らかで優しさと豊かさを感じました。その頃すでに修復のための木材の入手には大変苦労され、正殿の柱に使われている直径1m近くの木材は、国産材の調達は既に出来ず、台湾ヒノキが使われていました。この樹種も台湾での伐採が禁止され、今後は入手が不可能になるということも当時伺いました。木に限らず、自然素材は、人を包み込む様な肌感覚と時の累積を感じます。今後の復元には、今までにない様な知恵が求められています。

(S.I)