Zo通信

2020-05-05 00:00:00

  「型」という言葉は、身近に使われています。鋳物の外・内型としての意味の他に、人の行為の手順や約束ごとにも使われています。一定水準の質を維持して、繰り返し再現する必要性から、人々に共通する認識として型というものが生まれてきます。ものづくりにおいては、制作までの手順の無駄を省き、より高い質の維持を求めて、型を進化させてきました。型には、人の知恵と工夫が詰まっています。行為の手順や約束ごととして使われるときは、人による解釈や表現に違いがない「手本」としての役割を果たし、学ばれ伝承されてきました。完成された型は、簡素で無駄のない美の裏付けをもっています。「型から学ぶ」ことは、そのための修練も必要ですが、そのことによって、多くのことを身につけることができます。一方で、「型にはまった」とか「型どおり」という言葉は、窮屈な意味にも使われています。社会の価値観が大きく変わろうとしているときには、これまでの型が崩れがちになります。型を破るにしても型の習熟あってのものです。創造するという意味も合わせて考えなければなりません。

 

(S.I)