Zo通信

2019-09-20 00:00:00

 作曲家で藝大教授、副学長も務められていた松下功さんが亡くなられて丁度1年になります。練習演奏の指揮中のことであったとお伺いしています。私の2010年の個展に出品した作品『鳥たちの時間』を観て、曲のイメージがわいたというお話から2年ほどした2012年に、ようやく楽譜ができましたというお知らせをいただきました。私の作品と同名のタイトルで、1台のハープと2本のフルートによる演奏からなる楽曲でした。展示のために東京・椿山荘のロビーに一時期お貸ししていた私の作品を前にして初演が行われました。作品の隣に据えられたハープの演奏に、遠方の右と左からフルートが近づき中央で一体となり、また次第に離れていくという、会場の「場」を見据えた演奏と演出で好評を博しました。その後、2017年に台東区生涯学習センターミレニアムホールでの演奏会で、松下さん自らの指揮で演奏録音され、その時のCDをいただくことができました。作品同士の触れ合いを通して、創作するということの原点を静かに感じています。

(S.I)