Zo通信
2020-12-28 00:00:00
自作『循環』という作品についてお話しします。1986年にチェルノブイリに原発事故が発生しました。事故からおよそ10年後に桂の木を素材とした楕球状の立体として完成したのがこの作品です。表面に複数の線が現れては消え、全体としてはつながっている。ひとつの国や特定する地域に留まらず時間をこえて出来事は連鎖していく。おりしも現地で被爆した子供たちの心をいやす目的で作品の公募が企画され、野外展示に耐えるようにブロンズ用に原型を作り直して応募しました。1997年に『INFINITY』という題名でベラルーシのミンスク市にあるサナトリウム施設の庭に永久展示となりました。日常の生活の中には目に見えないものが沢山あります。無関係に思われているものがどこかでつながっている、そんな思いの作品です。同じ原型から鋳造したものが群馬県立土屋文明記念文学館の2階に展示されています。東日本大震災とそれに伴う原発事故では、この2つの作品の制作時の気持ちが蘇ってきました。新型コロナの感染拡大の懸念も重なり、地球全体がひとつであることを実感しています。
(S.I)