Zo通信

2021-10-24 00:00:00

 空間の不思議。上下左右限りなく広がっていく世界。空間という言葉からは、宇宙の無限性を感じます。地球上に限定して考えると人が立っている面と、見上げて面、ぐるりと見渡す周囲の広がりというとらえ方が自然です。その空間の中に1つのものを置いてみると、様々な印象が生まれてきます。人の目線や立っている位置によってもその印象は様々に変化します。配置されるものの数が2つ3つと増えてくるとそれぞれの関係性が生まれてきます。ものの向きやの光の状態によっても印象は違ってきます。空間の中では、人は、その「場」に参加し、ものと直に接することになり関係性の一部になります。空間の不思議さは、それまでの現実が、地上の重力や物質感から離れて、いつの間にか現実とは隔絶された象徴性へと転換していくことにあります。それまで、ものの1つ1つが単独では発してこなかった個性が、象徴的空間では、お互いに新たな個性を持った存在に生まれ変わります。造形表現における空間では、空間そのものの大小の概念をも超えて、独自の表現媒体として様々な心的宇宙を創り出すことができます。

 

(S.I)