Zo通信 

2026-10-01 00:00:00

 綿の花から繊維を引き出して糸にする、紡ぐ(つむぐ)という言葉には、どこか懐かしく暖かさがあります。ワタのようにと表現される綿の花から小さな種を取り除き、繊維を薄く伸ばし、何層にも重ね、指先で縒り(より)をかけながら紡ぐ作業は、手わざの妙という他はありません。繭から細い糸を引き出すゆびさきの動きも実に美しく繊細です。使用する道具の改良と機械による産業化によって、時間をかけて「コットン文化」「シルク文化」をつくりあげてきました。

手は、習熟することによって同じ動作を正確に繰り返すことができます。指先の動きは、触れる、摘む(つまむ)、伸ばす、押す、叩く、千切る、弾く(はじく)、結う、縒る(よる)、捻(ねじる)などじつに多様です。左右の手と連動すれば、さらに複雑な作業が可能となります。

手を開いて平らになる部分は「掌」(たなごころ)と呼ばれています。掌の少し凹んだ部分は、丸さを感じたり、丸いかたちを作ることが得意です。この部分を私は、「手のこころ」と呼んでいます。「手のこころ」でかたちを暖め、指先で模索しながら新しいかたちが生まれてきます。

(S,I)