Zo通信
丸や三角、四角という様にかたちを説明する言葉があります。造形の視点でとらえると、のびる、縮む、ねじれる、曲がる、反る、ふくらむ、へこむなどは、かたちの状態を表す言葉です。ずれる、合う、重なる、支えるなどは、関係性を示しています。ふっくらした、まろやかな、どっしりしたなど、個性を表す言葉もあります。滑らか艶やかなどは、手触りや触感を、彫る、削る、うがつ、重ねる、積む、組む、はめるなどは、素材に対しての人の行為を示しています。茶器には、部分を細かく分けてそれぞれ「見どころ」として呼び名をつけ鑑賞に役立てています。かたちを表す言葉は、決して多くはないのですが、他の言葉に置き換えられない程の役割を持っています。言葉は、人に伝えることと同時に、物の状態を観察し定着させていく上でも大きな役割を持っています。また、物事を可視化する上でも大きな手がかりとなります。ゆったり感やたっぷり感という言葉も造形の言語に加えながら「かたち」と向き合っていこうと思います。
(S.I)
冷和元年も残り少なくなりました。良いことも悪いことも様々でしたが、衝撃的なことの一つに沖縄県の首里城の火災がありました。防火設備に限らず先端技術が発達し、随所に取り入れられている中での不幸で、目に見えない危険が潜む日常の危うさに言葉を失います。首里城を訪れたのは、25年ほど前で、「正殿」「北殿」など主要な建物の復元がほぼ終わった頃でした。内部のしつらえや装飾などは未だ復元工事中でしたが、建物の外観や内部空間には、大らかで優しさと豊かさを感じました。その頃すでに修復のための木材の入手には大変苦労され、正殿の柱に使われている直径1m近くの木材は、国産材の調達は既に出来ず、台湾ヒノキが使われていました。この樹種も台湾での伐採が禁止され、今後は入手が不可能になるということも当時伺いました。木に限らず、自然素材は、人を包み込む様な肌感覚と時の累積を感じます。今後の復元には、今までにない様な知恵が求められています。
(S.I)
作曲家で藝大教授、副学長も務められていた松下功さんが亡くなられて丁度1年になります。練習演奏の指揮中のことであったとお伺いしています。私の2010年の個展に出品した作品『鳥たちの時間』を観て、曲のイメージがわいたというお話から2年ほどした2012年に、ようやく楽譜ができましたというお知らせをいただきました。私の作品と同名のタイトルで、1台のハープと2本のフルートによる演奏からなる楽曲でした。展示のために東京・椿山荘のロビーに一時期お貸ししていた私の作品を前にして初演が行われました。作品の隣に据えられたハープの演奏に、遠方の右と左からフルートが近づき中央で一体となり、また次第に離れていくという、会場の「場」を見据えた演奏と演出で好評を博しました。その後、2017年に台東区生涯学習センターミレニアムホールでの演奏会で、松下さん自らの指揮で演奏録音され、その時のCDをいただくことができました。作品同士の触れ合いを通して、創作するということの原点を静かに感じています。
(S.I)
令和への改元と期をいつにして広瀬川造形館も開館となりました。開館までに多数の方々のご理解とご協力を得ましたことに感謝申し上げます。「こけら落とし」として2階の展示室でまず私からの作品展示となりました。お世話になった皆さまへご案内とさせていただきましたが、多数の方々にご来館いただきお礼申し上げます。
個人として「美術にできること」をゆっくりと考え、実行していきたいと考えております。妻の池田カオルとは、これまで長い期間を通してそれぞれ制作活動を続けてきました。二人同時の展示会としては、3年前初めて日本橋三越本店で「2人展」を企画していただきました。広瀬川造形館の今秋の企画展では、郷里の皆さまに見ていただけることを願って、改めて2人の作品展の開催を予定しております。この機会に皆さまにお会い出来ることを願っております。日程などにつきまして、当館のホームページでご確認ください。
今後、一人でも多くの方々が当館へのご理解をいただき、ご支援をいただければ幸と存じます。
池田政治(S.I)
